「絶対音感がないから、耳コピは無理」
そう思い込んでいる方が本当に多いのですが、これは誤解です。耳コピや作曲で実際に使われているのは、絶対音感ではなく相対音感です。そして相対音感は、大人になってからでも鍛えられます。
この記事では、その具体的なトレーニング方法を解説します。
相対音感とは何か
基準となる音を聞いたうえで、「次の音がどのくらい高いか、低いか」を判断する能力です。
絶対音感が「この音はドだ」と単体で当てるのに対し、相対音感は「さっきの音から3つ分上がった」と関係で捉えます。
だから、キーが変わっても同じ曲だと分かる
実際、私たちは無意識にこれを使っています。カラオケでキーを変えても同じ曲として歌えるのは、相対音感が働いているからです。すでに持っている能力を、意識的に使えるようにするだけなんです。
覚え方のコツは「知っている曲に紐づける」
音程(インターバル)を「短3度」「完全5度」と名前で覚えようとすると、まず挫折します。抽象的すぎて手がかりがないからです。
動画で使うのは、有名な曲の出だしに結びつける方法です。
- 短2度(半音) … 「上を向いて歩こう」「Please Please Me」
- 長2度(全音) … 「お正月」「メリーさんの羊」
- 短3度 … 「ゲゲゲの鬼太郎」「Hey Jude」
- 長3度 … 「聖者の行進」「アンパンマンのマーチ」
- 完全4度 … 「アメイジング・グレイス」「All of Me」
- 完全5度 … 「きらきら星」「I Love You(尾崎豊)」
- 長6度 … 「明日があるさ」「ネバーエンディング・ストーリー」
- 長7度 … 「Don't Know Why(Norah Jones)」「I Love You(Cole Porter)」
- オクターブ … 「Over the Rainbow」「優しさに包まれたなら」
音程を聞いたときに曲が浮かべば、それが答えです。理論を暗記するのではなく、記憶にすでにあるものを引き出すわけです。
なぜこの方法が効くのか
人間の記憶は、単独の情報より文脈のある情報のほうが圧倒的に残ります。
「短3度」という言葉には文脈がありません。でも「ゲゲゲの鬼太郎の出だし」には、メロディも歌詞も情景も紐づいています。引き出しの取っ手が多いぶん、思い出しやすい。
しかも耳コピの現場では、一瞬で判断する必要があります。 計算していては間に合いません。曲が反射的に浮かぶ状態まで持っていくのが、この方法のゴールです。
相対音感が身につくと何が変わるか
- 耳コピが速くなる … 楽器を持たなくても、聴いた瞬間にメロディの動きが分かる
- 作曲がスムーズになる … 「次の音はどこがいいか」で迷わなくなる
- アレンジの幅が広がる … コード進行を聴いて「次に何が来そうか」が分かる
- 演奏が安定する … 次の音をイメージできるので、即興やセッションにも対応できる
練習の進め方
この動画は約1時間あります。一度で全部やろうとしないでください。
- まず「短2度」と「長2度」の2つだけを、1週間かけて確実にする
- 曲が反射的に浮かぶようになったら、次の音程へ進む
- 日常で音楽を聴くときに、「今の跳躍は何度だろう」と当ててみる
- 慣れてきたら、実際に短いフレーズを耳コピしてみる
3番が特に大事です。練習時間の外で使える能力にすることが目的なので、通勤中でもテレビのBGMでも、思いついたときに当ててみてください。
目次
00:00 オープニング
00:15 相対音感とは?耳コピ・作曲に役立つ理由
00:34 短2度(半音):覚え方と練習曲
03:17 長2度(全音):覚え方と練習曲
09:49 短3度:覚え方と練習曲
15:21 長3度:覚え方と練習曲
22:05 完全4度:覚え方と練習曲
29:44 完全5度:覚え方と練習曲
34:08 長6度・短6度:覚え方と練習曲
40:45 長7度・短7度:覚え方と練習曲
49:58 オクターブ:覚え方と練習曲
55:43 まとめ・効果的な練習方法
こんな方におすすめ
- ギターやピアノで耳コピをしたい方
- 作曲・編曲をしたい方
- 歌うときの音程感覚を鍛えたい方
- 楽器のフレーズを瞬時に聞き取れるようになりたい方
- 音楽理論を実践的に活用したい方
自分の答え合わせができないと、間違った聞き取り方が癖になることがあります。ピアノ弾き語り教室では、レッスンの中に耳のトレーニングを組み込みながら進めることもできます。