B面で埋もれた曲が、30年後に名曲として発見される。
「黄昏のビギン」は、そんな数奇な運命をたどった歌です。この記事では、曲の背景とコード進行の両面から、この曲の魅力を解きほぐしていきます。
埋もれていた30年
作詞は永六輔、作曲は中村八大。
デビュー曲「黒い花びら」で第1回レコード大賞を受賞した水原弘の、2枚目のシングルB面として1959年10月に発表されました。B面ということもあり、当時はほとんど反響のないまま埋もれます。
ところが30余年を経た90年代以降、にわかに何人もの歌手にカバーされ始め、今や戦後歌謡曲屈指の名曲という評価を確立しつつあります。
時代のほうが後から追いついてくることがある
なぜ後から発見されたのか
推測になりますが、この曲の作りが当時のヒット曲の型から外れていたことが大きいはずです。
派手なサビで押し切るのではなく、情景を淡々と描いていく。歌い手の解釈の余地が大きい構造をしています。だからこそ、後年になって様々な歌手が自分の色で歌えた。
ちあきなおみさんの歌唱がよく知られていますが、力強さと繊細さが同居した表現は、この曲の器の大きさがあってこそ成立しています。
コード進行を見る
動画の前半は、Aメロとサビのコード進行の解説です。
聴きどころは、アコースティックな響きの中に置かれた和音の選び方にあります。単純な進行に聞こえて、要所で予想を外してくる。その一手が、夕暮れという情景の曖昧さと重なります。
「黄昏」は、昼でも夜でもない時間帯です。どちらとも言い切れない時間を、和音の選択で表現している。ここに気づくと、この曲の聴こえ方が変わります。
歌詞と音の関係
動画の後半では、歌詞についても触れています。
一つ一つの語句が持つ重み。韻の響きあう美しさ。そして「黄昏」という言葉が醸し出す独特の空気。
言葉の選び方と、その下に置かれた和音は無関係ではありません。 作曲家は歌詞を読んで音を選んでいます。だから、コード進行を分析することは、そのまま歌詞の読解にもなる。
この動画の楽しみ方
これは演奏のハウツーではなく、楽曲分析の動画です。
弾き方を覚えるのとは別の楽しみがあります。1曲を深く掘ることで、他の曲を聴く耳も変わるからです。
「なぜこのコードなのか」を考える習慣がつくと、普段聴いている曲の中にも仕掛けが見えてきます。演奏する人にとっては、これがそのままアレンジの引き出しになります。
目次
00:00 オープニング
00:11 Aメロ コード進行解説
02:53 サビ コード進行解説
05:49 楽曲について
06:22 歌詞について
06:57 コード進行分析
こんな方におすすめ
- 歌謡曲の名曲を深く味わいたい方
- コード進行と歌詞の関係に興味がある方
- 楽曲分析の視点を身につけたい方
- 弾き語りのレパートリーを増やしたい方
ピアノ弾き語り教室では、演奏の練習だけでなく、こうした楽曲分析も扱っています。「この曲がなぜ好きなのか」を音楽的に言葉にできるようになると、自分の演奏にも軸ができます。