自分で作った曲が、どこか子どもっぽく聴こえる。
原因を「知っているコードが少ないから」だと考えて、テンションや珍しいコードを探しに行く方が多いのですが、この記事で扱う進行は新しいコードを1つも使いません。使うのは、すでに知っているダイアトニックコードだけです。
変えるのは、始める場所だけ。
4→3→2→1 という並び
キーが C なら FM7 → Em7 → Dm7 → CM7。度数で言えば IVM7 → IIIm7 → IIm7 → IM7 です。
I から始めず、IV から一段ずつ降りてくる。それだけで、浮遊感のある大人びた響きになります。
なぜ I から始めると子どもっぽいのか
I は、その曲にとっての「家」です。
家から出発して家に帰ってくる話は、聴き手にとって最初から行き先が分かっている状態です。安心感はありますが、驚きはありません。
IV から始めると、聴き手はまだ家がどこか分かりません。宙に浮いたまま話が始まって、一段ずつ降りていって、最後に IM7 に着いた瞬間に「ああ、ここだったのか」と分かる。
行き先が見えない出だしを作ることが、そのまま「大人っぽさ」になります。
| I から始める | IV から始める | |
|---|---|---|
| 出だし | 家から出発する | 家がどこか分からない |
| 聴き手の状態 | 行き先が予想できる | 予想できないまま進む |
| IM7 に着いたとき | 予定通り帰ってきた | 「ここだったのか」と分かる |
動画では Lovin' You(ミニー・リパートン)、RADWIMPS「愛にできることはまだあるかい」、SMAP「ライオンハート」で実際の響きを確かめています。ジャンルも年代もバラバラなのに同じ手触りがあるのは、この出発点のずらし方が共通しているからです。
押さえ方は「3度の上に三和音」
ボイシングにコツがあります。ルートを左手に置いて、右手はそのコードの3度の上に三和音を1つ重ねる。
| コード | 上に重ねる三和音 |
|---|---|
| FM7 | Am |
| Em7 | G |
| Dm7 | F |
| CM7 | Em |
コードネームの仕組みを扱った記事でも出てきた形です。四和音は、3度の上にもう一つ三和音が乗っているだけ。新しい押さえ方を覚える必要はありません。
むしろこの進行は、シンプルなボイシングのほうが浮遊感が映えます。厚くしすぎると、せっかくの「宙に浮いた感じ」が重さで消えてしまいます。
練習の進め方
- C キーで
FM7 → Em7 → Dm7 → CM7を、左手ルート・右手三和音で一周する - 度数で「4・3・2・1」と声に出しながら弾く
- F キーや G キーでも同じことをやる。数字は変えない
- 知っている曲の中から、この並びが出てくる箇所を探す
- この4小節に、自分でメロディか歌詞を乗せてみる
5番目まで行くと定着が早いです。進行が先にあって、そこに言葉を乗せるという作り方は、メロディから作るのとは別の回路が動きます。うまく浮かばなくても、この進行が持っている雰囲気そのものを体で覚えられます。
「新しいコードを覚えなくても、始める場所を変えるだけで景色は変わります。」
目次
00:00 大人っぽい進行=4→3→2→1(IVM7→IIIm7→IIm7→IM7)
01:13 コードフォームの作り方(3度上を重ねる)
02:54 Lovin' You(ミニー・リパートン)で響きを体感
03:29 なぜ「物語の途中から始まる」感覚なのか
04:19 RADWIMPS「愛にできることはまだあるかい」で確認
05:55 SMAP「ライオンハート」で確認
07:26 この進行で作詞・作曲してみる
08:40 まとめ:覚えて、どんどん応用する
こんな方に見てほしい
- コードは知っているのに、曲がどこか子どもっぽくなってしまう方
- ダイアトニックの先の、ワンランク上の響きが欲しい方
- しっとり大人な弾き語り・作曲がしたい方
この動画で学べること
- IVM7→IIIm7→IIm7→IM7(4→3→2→1)の仕組みと押さえ方
- なぜ「IVから始める」と浮遊感・大人っぽさが出るのか
- Lovin' You/愛にできることはまだあるかい/ライオンハート での実例
- この進行に言葉を乗せる、作詞・作曲への応用
ピアノ弾き語り教室では、コード理論から作曲・アレンジまで、一人ひとりのやりたい内容に合わせてマンツーマンでレッスンしています。「作りかけの曲がある」という状態からのご相談も歓迎です。