ダイアトニックも、テンションも、セカンダリードミナントも知っている。なのに、いざ曲を弾くと手が止まる。
これは知識量の問題ではありません。知識の「保存形式」が違うだけです。
雑学は「検索できる形」、公式は「呼び出せる形」
「Fm7♭5 の構成音は?」と聞かれれば、少し考えて答えられると思います。これは知識が検索できる形で入っている状態です。
でも、演奏中にその問いは立ちません。小節は進んでいて、必要なのは「今ここで何を弾くか」に対して手が先に動くこと。これが呼び出せる形です。
同じ内容を、調べられる形から、手が動く形へ置き直す。その作業が「公式化」です。
「センスがないから」と感じているものの正体は、多くの場合この変換が未完了だというだけです。
四和音は「ルート+三和音」で一発で出せる
動画では、この公式化の実例がいくつか紹介されます。並べてみると、ほとんどが同じ形をしていることが分かります。
| コード | 重ねる三和音 | 例 |
|---|---|---|
| m7♭5 | 3rd(短3度上)からマイナー | Fm7♭5 = F の上に A♭m |
| m7 | 3rd(短3度上)からメジャー | Dm7 = D の上に F |
| △7(M7) | 3rd(長3度上)からマイナー | CM7 = C の上に Em |
| オルタード | ルートの短3度下からメジャー | C なら A メジャーを重ねる |
上3つはすべて、上に乗る三和音のルートがそのコードの 3rdになっています。メジャー系なら長3度上、マイナー系なら短3度上。つまり覚えるのは「3rd の上に、メジャーかマイナーのどちらを置くか」だけです。
オルタードだけは別で、ルートの下から見ます。C の短3度下は A、その A メジャーを重ねると、結果として ♭13・♭9・3rd が揃います。理屈を追わなくても、この形で覚えてしまって問題ありません。
「四和音=三和音が2つ重なったもの」という見方は、コードの仕組みを考えるときに何度も戻ってくる基本形です。
「腹落ち」は、自分の曲の中でしか起きない
公式を知っただけでは、まだ雑学のままです。変換が完了するのは、自分が今弾いている曲の中で、その公式が当てはまった瞬間です。
教材の中で何回なぞっても、それは教材の話のままです。自分の曲で使えたときに初めて、「これは便利だ」と体が覚えます。
だから、動画でも「1つの曲・1つのキーで終わらせない」ことが強調されています。「A だったら?」と聞かれて即答できて、やっと使える知識です。
練習の進め方
一度に全部を公式化しようとしないでください。1つずつです。
- 公式を1つだけ選ぶ(まずは m7 がやさしい)
- C で作る。次に D、E…とキーを変えていく
- 「A だったら?」と自分に問い、3秒以内に手が動くか試す
- 今練習している曲の中から、その公式が使えるコードを探す
- 手が動くようになったら、次の公式へ
4番目が変換の山場です。ここを飛ばすと、どれだけ練習しても「知っている」側に留まります。
「覚えるのではなく、腹落ちさせて公式として使う。」
目次
00:00 オープニング|音楽学習の向き合い方
01:05 「知っている」と「使える」は決定的に違う
01:40 コード進行を数字で捉える(12キー・ダイアトニック)
04:03 自分で導く力|弾き語りで分かる基礎の差
04:47 知識が腹落ちするタイミングとは
06:27 暗記ではなく「公式」でコードを覚える
07:27 m7♭5・m7・△7・オルタードを一発で導く
11:35 まとめ|雑学を使える知識へ
こんな方に見てほしい
- 理論は学んだのに、演奏や作曲で活かせていない方
- コード進行を「数字」で捉える意味がまだ腹に落ちていない方
- 「センス」という言葉で片付けてしまいがちな方
- 知識を一生使える武器に変えたい初心者〜中級者の方
- 独学に行き詰まりを感じている方
この動画で学べること
- 「知っている」と「使える」が決定的に違う理由
- コード進行を12キーすべてで数字として捉える発想
- 知識が腹落ちするタイミング
- 暗記ではなく公式でボイシングを身につける方法
- m7♭5・mM7・オルタードを一発で導く考え方
「理論は分かるのに使えない」は、独学で一番抜けにくい状態です。ピアノ弾き語り教室では、実際に弾いていただきながら、どの知識をどこで使うのかを具体的にお伝えしています。