「じゃ、イントロからお願いします」
こう言われて手が止まるのは、実は何を弾いてもいいからです。メロディも歌詞も決まっていない。制約がない分だけ、選択肢が多すぎて決められなくなります。
だから型が効きます。ただその前に、イントロが何をすれば完了なのかをはっきりさせておくと、選ぶのが楽になります。
イントロが渡すものは3つだけ
イントロ単体がかっこいいかどうかは、実は主役ではありません。大事なのは、歌が入る瞬間に聴き手の耳が準備できているか。
| 渡すもの | これが無いと |
|---|---|
| テンポ | 歌い出しで入る場所が分からない |
| キー | 最初の音の高さが取れない |
| 雰囲気 | 極端な話、明るい曲か悲しい曲かさえ伝わらない |
この3つを渡し終えたら、イントロの仕事は終わりです。長さも凝り具合も、そのあとの話です。
目立つ必要はありません。渡すものを渡せていれば十分です。
1-6-4-5 が万能なのは、3つを最短で渡せるから
動画で使うのは、王道の 1-6-4-5 進行です。これがイントロに向いている理由ははっきりしています。
- 全部ダイアトニック … 外の音が一つも無いので、キーが即座に伝わる
- 1 で始まって 5 で終わる … 最後の 5 が次の 1(歌の頭)を呼ぶ
- 4小節で一周 … 一周すればテンポが伝わる
特に2番目が大きいです。イントロの最後を 5(ドミナント)で終わると、聴き手は次に 1 が来ると分かります。歌い出しの一拍前に、耳が勝手に構えてくれる。
左手が時間を、右手が色を担当する
手の役割がはっきり分かれているのも、この型のやりやすいところです。
| 弾くもの | 渡しているもの | |
|---|---|---|
| 左手 | アルペジオ 1-5-9-3 | テンポと、和音の土台 |
| 右手 | ソ・ド・レ・ミ(キーCなら 5・1・2・3) | 雰囲気 |
分かれているから、片方だけ変えられます。左手はそのままにして右手の音を差し替えれば、同じ型で別の表情になります。毎回ゼロから考えなくて済むのはこのためです。
左手の 1-5-9-3 は、オクターブをまたいで広がる並びです。狭い位置で和音を押さえるよりも開けて聞こえるので、音数を増やさなくても厚みが出ます。
数字で覚えるから、全キーで動く
この型を「C → Am → F → G」と覚えてしまうと、C の曲でしか使えません。
「1-6-4-5」、左手は「1-5-9-3」。数字で覚えていれば、E♭ でも A♭ でもやることはまったく同じです。鍵盤の位置が変わるだけで、手順は1ミリも変わりません。
急にキーを変えてと言われても慢てないのは、ここができているかどうかの差です。
練習の進め方
- C キーで 1-6-4-5 を左手のアルペジオだけで回す
- アルペジオを 1-5-9-3 の並びに揃える
- 右手で ソ・ド・レミ を乗せる
- 最後の 5 で一拍休む → そこから歌い出しを入れてみる
- 同じ手順を F と E♭ でやる
4番目を飛ばさないでください。イントロと歌の間をどう取るかで、同じフレーズでも印象が変わります。動画の最後の章は、まさにその話です。
「イントロは、思いつくものではなく、持っているものです。」
目次
00:00 オープニング|なぜイントロが難しいのか?
01:08 定番の 1-6-4-5 進行でイントロを作る
02:11 左手のアルペジオパターン「1-5-9-3」
04:25 右手は「ソ・ド・レ・ミ」でシンプルに
05:30 コードの質感で雰囲気を演出する
07:00 歌への導入例とほかのキーへの応用
09:10 型を覚えて即対応できる力を身につける
10:17 イントロと歌の「間」に差をつける演奏術
こんな方に見てほしい
- イントロが思いつかず、すぐAメロから入ってしまう方
- 即興でイントロを作るのが苦手な方
- コードは分かるけれど、組み立て方が分からない方
- シンプルで雰囲気のある導入を弾きたい方
- 全キーで使える実践的な型を身につけたい方
この動画で学べること
- 1-6-4-5 進行を使ったイントロの作り方
- 左手のアルペジオ「1-5-9-3」で厚みを出す方法
- 右手の「ソ・ド・レ・ミ」を使ったシンプルな構築法
- メロディに頼らず、コードの質感で雰囲気を作るコツ
- E♭ や A♭ など、ほかのキーへ応用する方法
ピアノ弾き語り教室では、イントロや伴奏アレンジを「型」として使えるところまで、マンツーマンでお付き合いしています。