転回形。名前は知っているけれど、なかなか身につかない。そういう方は多いはずです。
原因は練習方法にあります。この記事では、転回形を「指の運動」ではなく「コードの認識力」として鍛える方法を解説します。
転回形とは
Cコード(ドミソ)を例にすると、こうなります。
| 形 | 音の並び | 一番下の音 |
|---|---|---|
| 基本形 | ド・ミ・ソ | ド |
| 第1転回形 | ミ・ソ・ド | ミ |
| 第2転回形 | ソ・ド・ミ | ソ |
音の順番が入れ替わっているだけで、どれもCコードです。
大事なのは、どの形を見ても「これはCだ」と即座に認識できること。ここが最終目標になります。
よくある練習の落とし穴
転回形の練習というと、「ドミソ → ミソド → ソドミ」を繰り返す形が一般的です。
でも、この練習には問題があります。
機械的に繰り返すと、実際の演奏で使えない
コード名を意識しないまま指を動かしていると、譜面に「C/E」と書かれていたときに、瞬時に反応できません。動かせることと、分かっていることは別なのです。
ダイアトニックコードをまとめて扱う
動画で紹介している方法は、発想が違います。
1つのコードの転回形を繰り返すのではなく、そのキーの7つのダイアトニックコードを、転回形でつなげていくのです。
Cキーなら、C・Dm・Em・F・G・Am・Bm♭5 の7つ。これらを、音がなるべく動かない形で連結していきます。
たとえば、ド・ミ・ソ(C)→ ド・ミ・ラ(Am)→ ド・ファ・ラ(F)→ レ・ファ・ラ(Dm)…
1音ずつしか動いていないのが分かるでしょうか。これがスムーズなボイシングの正体です。
3つの音を順番に動かす
具体的な手順はこうです。
- トップノート(一番上の音)を次の音に変える
- ミドルノート(真ん中)を変える
- ベースノート(一番下)を変える
これを繰り返していくと、21通りの変化をひと通りカバーできます。7つのコード × 3つの転回形で21。
この21回を一巡すると、そのキーのダイアトニックコードの転回形が全部通ったことになります。
声に出しながら弾く
この練習で決定的に重要なのが、弾きながらコード名を口に出すことです。
「シー、エーマイナー、エフ、ディーマイナー…」
面倒に感じるかもしれませんが、これをやるかどうかで結果がまったく違います。目的は指ではなく認識力を鍛えることなので、名前と音を結びつける作業が不可欠なのです。
黙って弾いていると、いつのまにか指の運動に戻ってしまいます。
12キーへ広げる
Cキーで一巡できるようになったら、他のキーへ移ります。
最初は難しく感じますが、やっていることは同じです。並びの構造は変わらず、開始位置が動くだけ。3〜4キーを通過するあたりで、急に楽になります。
転回形が身につくと何が変わるか
- コード進行が滑らかにつながる(手が飛ばなくなる)
- 譜面の分数コード(C/E など)に即座に反応できる
- 耳コピで「今のは転回形だ」と判断できる
- アドリブや即興で、コードを瞬時に組み替えられる
弾き語りでは特に効きます。 手の移動が減るぶん、歌に意識を回せるようになるからです。
目次
00:00 オープニング
00:21 転回形の概要
02:15 ダイアトニックコードを使った練習方法
03:17 転回形の練習方法実演
10:08 21個の転回形マスター
11:09 まとめ
こんな方におすすめ
- コード奏法を学びたい初心者〜中級者の方
- 転回形の仕組みは知っているが、なかなか覚えられない方
- スムーズなコード進行やボイシングを身につけたい方
- 機械的な指の練習ではなく、実践的なコード練習をしたい方
- 耳コピや作曲時に転回形を素早く認識したい方
多くの方が「覚えられない」と感じるのは、才能ではなく練習の設計の問題です。ピアノ弾き語り教室では、その方の段階に合わせて練習メニューを組み立てています。