「コード奏法は、ジャズを弾く人のものでしょう?」「難しい理論を勉強しないと無理ですよね?」
レッスンでも本当によく聞く言葉です。でも実際に必要なのは、コードネームが読めること、ほぼそれだけです。理論は後からついてきます。
この記事では、コード奏法が楽譜どおりに弾く演奏と何がどう違うのか、そして最初の一歩として何から手をつければいいのかを整理します。
楽譜は「答え」、コードネームは「条件」
クラシックの楽譜には、鳴らす音がすべて書かれています。演奏者の仕事は、それを正確に再現すること。いわば答えが先に書いてある状態です。
コード譜は違います。「C」と書いてあっても、どの高さで押さえるか、何音重ねるか、どんなリズムで刻むかは書かれていません。書かれているのは条件だけで、その条件を満たす音の組み合わせは無数にあります。
つまりコード奏法とは、答えを再現する演奏ではなく、条件から音を設計する演奏です。
| 楽譜どおりに弾く演奏 | コード奏法 | |
|---|---|---|
| 譜面に書いてあるもの | 鳴らす音そのもの | 鳴らす音の条件 |
| 演奏者の仕事 | 書かれた通りに再現する | 条件に合う音を自分で選ぶ |
| 同じ曲を2回弾くと | 同じ演奏になるのが理想 | 毎回違っていい |
| つまずきやすい所 | 音符の量、運指 | 何を弾いていいか分からない |
この表の一番下が、コード奏法の入り口でつまずく最大の理由です。自由すぎて、逆に手が止まる。だからこそ最初は「音の選び方のルール」を1つだけ持っておくと前に進めます。動画ではそれを、共通音とベースラインという2つの形で解説しています。
共通音は、コードとコードの「のりしろ」
コードが変わるたびに手をガバッと動かしていると、演奏がブツ切りに聴こえます。ここで効くのが共通音です。
たとえば C(ド・ミ・ソ)と Am(ラ・ド・ミ)には、ド と ミ が共通しています。この2音は動かさず、ソだけをラへ動かせば、指1本分の移動でコードチェンジが終わります。
ただし、手が楽になるのは実は副産物です。本当の効果は聴こえ方のほうにあります。
耳は「変化した音」に注目します。止まっている音があるほど、変わった音がくっきり浮かび上がります。
コードを一つずつ別のブロックとして押さえていると、進行が「点」の連続に聴こえます。共通音を残すと、そこがのりしろになって、点が線につながる。動画の 04:46 からは、この共通音を実際のコード進行の中で探していく過程が見られます。
ベースラインを足すと、1人でも「バンドの音」になる
右手でコード、左手でルート。これだけでも曲にはなりますが、どうしても平坦に聴こえます。
理由は、左手が同じ場所で上下しているだけだからです。ベースは和音の一番下を担当するパートのように見えて、実際の役割は違います。ベースは進行がどこへ向かっているかを示す線です。
線として動かすと、和音そのものが変わっていない場面でも、曲が前に進んで聴こえます。弾き語りをやっている方は、ここが一番効果を実感しやすいはずです。歌っている間も、下で音楽が動き続けてくれるからです。
練習の進め方
順番があります。いきなり全部やろうとすると必ず止まります。
- 好きな曲のコード譜を1曲用意する(4〜5個のコードで回る曲がおすすめ)
- 右手で和音、左手はルートだけ。テンポは遅くていい
- 隣り合うコードで共通している音を探す。共通音は動かさずに押さえ直す
- 慣れてきたら、左手のルートに動きを足していく
3番目を飛ばして4番目に行かないでください。共通音でコードがつながっていない状態でベースだけ動かすと、上と下がバラバラに聴こえます。
「まずは1曲。共通音を探すだけで、コードチェンジの聴こえ方が変わります。」
目次
00:00 オープニング
00:22 コード奏法の特徴|楽譜どおりの演奏と何が違うのか
02:08 実際のコード進行で実践してみる
04:46 共通音を見つける|自然なボイシングの作り方
08:51 ベースラインを加える|演奏に流れを作る
12:50 まとめ
こんな方に見てほしい
- ピアノをもっと自由に弾けるようになりたい方
- コード譜だけで演奏できるようになりたい方
- 弾き語りをこれから始めたい方
- ポップスやジャズに興味がある方
- アレンジ力を身につけたい方
この動画で学べること
- コード奏法の特徴と、楽譜どおりに弾く演奏との違い
- コード進行を使った実際の演奏方法
- 共通音を使った自然なボイシングの作り方
- ベースラインを加える考え方
- コード奏法に向いている人の特徴
ピアノ弾き語り教室では、生徒さん一人ひとりの目標に合わせてカリキュラムを作っています。「この曲をコードで弾けるようになりたい」といったご相談も歓迎です。